個性ってやつについて その2}

前回「個性」について記事を書いたんですが、

ちょっと続きを書いてみようかと。
別に特に考えてなかったのだが、先日の女流名人戦の決勝見てて思うとこがあったので。

http://susumutakenaka.blogspot.jp/2018/04/blog-post_6.html



前回書いたとおり個性というのは
経験をつみ技術を磨いた後、独自の道を探し出して更なる高さを目指した結果生み出された”邪道の部分”、
つまり「幹にそって真っ直ぐ伸びた後の最後の枝分かれ」の部分、と僕は考えている。
その一方で競技選手が実力の向上を目指すには、「自分を常に刷新する」という行為が必要になってくる。
常に同じままでいるのは相対的ゲームにおいては衰退につながるし、そもそもどんなに強い人も常に同じでいる事はできない。

http://susumutakenaka.blogspot.jp/2018/03/blog-post_55.html



そうやって常に自分を見つめなおす中で行われるのがいわば「枝切り」である。
更なる向上に向け新しい枝を伸ばす、そのために今の枝を切って再構築を試みるわけだ。

この時に「どこまで枝を切るか」という点も大事である。
いうなら「自分の中での変えない部分」「自分の中での変えるべき部分」、熟練された選手はそれをしっかり自己分析する術にもたけている。
しかし実はこれに対して外部が「変えるな」という押し付けをするケースが結構あり、これが打ち手の成長を阻害してしまうケースもある。
さてここで冒頭でも書いた先日の女流名人戦決勝について。
今回は当協会の中月裕子が、序盤リードの愛内よしえ(同じく協会)を逆転して優勝。
中月はとにかく積極的な攻撃型、
そのベースは高い打点構想力と明確な押し引きバランス。(特に押し) 

決勝1回戦目南2局
ドラアンコとはいえ愚形含みのイーシャンテンにて先手リーチを受け終盤に差し掛かろうという局面。
2着キープの為のオリも考え一あたりを切る選択肢もあるが、彼女の選択はMAX受け入れの打四。これは8000放銃で一回戦は3着となる。

がそれでもめげず。2回戦は手も入り愛内を捲くってトータルトップに。
南3局1本場ではライバル目愛内のリーチにオリてもOKのこの局面でも恐れずツッコんでデバサイの2900直撃。

オーラスもゆっくり慎重にいく手もあったが悠長な判断をせずに堂々とポンして3シャンテンに

いずれの局も愛内との点差やトータルポイントを考えると、「攻める選択も自重する選択もある」といった状況である。

そして個人的に一番印象に残ったのは南2局2本場の以下局面

トータルポイントでギリギリ愛内を捲くったところに来た早い巡目のピンフドラ1聴牌。
ただしこれを高くツモると愛内と京杜の並びを崩し却ってリードを縮めてしまう。
だからといってこのまま愛内が京杜を下回り続ける可能性も低い。この手をダマでツモったり愛内から2000点直をしたとしても京杜2着が薄氷である事に違いない。

当人もさすがにちょっと躊躇はあり最初はダマとしたが、結局リーチをしツモ和了。
「並びじゃなくて素点で勝つ」というシンプルな決断が実った局だったと言える。
とにかく「中途半端は主義じゃない」と言わんばかりの中月の選択が適所で上手くはまった勝利であった。



一方で愛内は協会女流の中でも高い守備意識をベースとした打ち手として知られる。
今回の決勝でも「中月だったら踏み込んでそう」という決断をスルーした局面もあった。まあ全体的に高いクオリティでキッチリとした選択をしていて、今回は中月の出来がそれを上回っただけ、という方がしっくり来るが。
多くのコメントを見ていても「攻めの中月」「守備の愛内」というイメージの物が多かった。実際僕の中でも現時点でそれはある。
ただ、「あんまりにも固定されたイメージだけで評価されるのもなあ・・・」というのが正直に今回思ったところである。

特に敗れた愛内についてだ。
ひょっとしたら本人の胸中には「もっと積極的な攻撃をしたい」という思いがあるかもしれない。
でも一方で周りの視線への配慮が絡んでるとしたら、ちょっと厄介だなあ、とか思うわけだ。

とにかく惜敗が多い愛内。
選手としてその原因について自問自答する点も多いだろう。
例えば彼女が敗れた第15期女流雀王戦決勝、
惜敗した中で「全体を通して私が一番この中で攻めていなかった」というコメントがあった。

これは選手目線で僕も感じた点だし、本人の中では「もっと野蛮に攻め切りたいけど周りの目線が心配」「自分は今のスタイルで評価されてる」って葛藤があるかもしれない。
周りから見て一番その選手の代名詞ともされる”個性”と呼ばれる様な部分こそ、
実は枝切りされ排除され変化する事が一番多い酷く不安定な部分なのである。
ところが世間のギャラリーにはそういった部分を「アナタの代名詞だから変えちゃダメでしょ」という意見を言ってくる事があるのだ。

多くの目に付くところで頑張る選手って改めて大変である。
当人がどう考えてるかは知らないけどw

まあ僕の勝手な願望として、
数年後に愛内が「愛内らしい全ツ」と呼ばれる姿、
中月が「中月らしい守備的なうち回し」と呼ばれる姿、
ちょっと見てみたい。

今後の2人の長いであろう選手生活考えるとそれは全然起こりうることで、むしろ健全であり。
そして起きるかもしれない選手達の「変化」を、願わくばファンも先入観なく楽しんで欲しい。
二人の激闘と多くのニコ生コメントを見終えてそう思ったのであった。



さてちなみに中月は

・最高位戦主催 女流名人戦
・μ主催 レディースOP
・協会主催 新人王戦
異なる3団体でのタイトル取得、しかもどれも各団体の公式タイトル、これは当団体の女流で初だろうし、協会員でもほとんど達成してない記録じゃないだろうか。改めて凄い話。
今年は女流リーグもAでもある。

やっぱ決勝での思い切った打ち方って僕にとっては理想形である。
なぜならこの打ち手は負けた時に「ミスはなかった」と言い訳しないし、
勝った時は「自分の力と決断で勝った」と堂々と言えるからだ。
特に後者、勝った時に僕もそうありたい。

負けた時の批判をおそれて決断をしない、こんな選手を山ほど見てきただけに、その手の言い訳と無縁の打ち方の選手を見ると「今後も貫いてほしい」と思うわけである。

あっちなみにこの決勝、気になる方は以下URLよりご視聴を^^
ニコ生 http://live.nicovideo.jp/gate/lv311876467
Fresh! https://freshlive.tv/threearrows-ch/198274

こちらの記事はhttp://susumutakenaka.blogspot.com/2018/04/blog-post_9.htmlより引用させて頂いております。情報の真偽につきましてはリンク先よりご確認ください。